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発信者情報開示請求が届いたときの対応方法

発信者情報開示請求とは?

発信者情報開示請求というのは、プロバイダ責任制限法にもとづいて行われる請求のことをいいます。
具体的にはインターネットの掲示板の書き込みなどで名誉毀損や誹謗中傷をした人の氏名や住所、電話番号などの個人情報を、被害に遭った人がプロバイダに対して開示するように請求するものです。

現実に公衆の面前で口頭によりしたものではなく、インターネット上の書き込みであっても、名誉毀損や誹謗中傷を行った場合には、刑事上の問題のほか、民事上の不法行為による損害賠償責任を負うことになります。

しかしインターネットの世界は匿名というのが一般的ですので、そのままでは被害者のほうでは誰を訴えればよいのかがわからず、結局のところ泣き寝入りをしなければならないことにもつながりかねません。

そこでプロバイダ責任制限法という法律のなかで、このような場合に被害者から発信者情報開示請求があった場合には、プロバイダは加害者にあたる人物の個人情報を開示してもよいことになっています。

もちろん通常であればプロバイダが顧客の個人情報をことさらに他人に対して開示することは、個人情報保護の観点から大いに問題であって、対象者から損害賠償を請求されるおそれさえある行為です。
それを特別な場合に限定してプロバイダの責任を免除するのが発信者情報開示請求制度の法的な趣旨といえます。

意見照会書が送付された場合の対応について

このような特殊性があるだけに、発信者情報開示請求とはいっても法令やガイドラインなどにもとづいた一定の手順を踏まえて適正に行われることが原則となっています。

もしも発信者情報開示請求があった場合、プロバイダではただちに情報を開示するのではなく、加害者とされた人に対して、開示してもよいかどうかを確認する書面、いわゆる意見照会書を送付します。

これが送付されてきた場合の対応法ですが、まずは内容をよく読んで、名誉毀損や誹謗中傷にあたる言動がなかったのかどうかをチェックしてみることが重要です。

その上で相手に個人情報を開示することに同意して謝罪するという方法がまずありますが、この意見照会書はあくまでも開示してよいかどうかを尋ねることが目的ですので、逆に開示したくないという意思表示をすることも可能です。

意見照会書に添付されている回答書に開示に同意しない旨を記載して14日以内にプロバイダに返送すれば、プロバイダが開示に応じることはいったんはなくなります。
いずれにしても意見照会書を無視するのではなく、同意するかどうかの回答は期限内にしっかりと行い、態度を明確にしておくことがたいせつです。

民事訴訟で個人情報の開示を迫ることも想定される

開示がないことに対して被害者が納得しなければ、今度は裁判所に訴え出て、民事訴訟で個人情報の開示を迫ることも想定されます。
裁判所からの判決が出れば、回答書を尊重して任意の個人情報開示には応じなかったプロバイダも、判決の強制力で開示せざるを得なくなってしまいます。

そして当然ですが被害者は開示された個人情報をもとにして不法行為に対する損害賠償を求める民事裁判を起こすはずです。
発信者情報開示請求があった場合には、通常はここまでの流れ想定した上で対応する必要があります。

したがって回答書を提出するだけで終わらせるのではなく、その後の流れを見据えて、プロの弁護士の法律相談を一度は受けておいたほうがよいといえます。

もしも相手から裁判所に訴えられて損害賠償を請求された場合にも、弁護士による法律上の見地からのアドバイスが生きるはずですし、そのまま訴訟の上での代理人を弁護士に引き受けてもらうことも可能です。

明らかに名誉毀損や誹謗中傷にあたる書き込みをしてしまったことを自覚しているのであれば、判決をただ待つのではなく、弁護士を通じて示談を求める方法もあります。